人事異動で職場に一気に女性が増えました。
皆さん40代〜50代のマダム世代。
そういう私も40は目の前ですが、それを踏まえて女性の年の取り方
ひらたく言えば「いいおばちゃん、悪いおばちゃん」について
考えるようになりました。
職場の女性の中には「いいおばちゃん」もいれば「悪いおばちゃん」もいます。
みんなクーラーが効いていても暑がっているし、芸能ネタが大好きだし
「今日も仕事をしまくり千代子」とかくらくらするようなダジャレを言ったりしています。
ただまだ「おばちゃん」になり切っていない(と信じている)私からみての
「いい」「悪い」の線引きはどこかというと、話ができるかどうかかなと思うのです。
もちろんおばちゃんも外国人ではないので話は通じますし、おしゃべりが大好き
なので下手したら話している時間は他の人より多いんですが、それは実は
一方的に話を聞いているだけでこちらは相槌を打っている状態。
あるいは相手が求めている返事を聞き出されている状態。
大抵そういう人は自分のことを話だしたら止まらない。
ご主人のこと、お子さんのこと、自分の近所のこと、淀みなく聞こえ続けるそれらの情報。
もちろんオチなしヤマなし。この手の話をちゃんと「会話が成り立っている」ように
思わせるスキルはなかなか高度ですよ。
頭の中では聞いたそばからゴミ箱へ移動してるんですが、完全にゴミ箱を
空にはせず、相手が望んでいる適当な返事(否定したり意見してはいけない)を
返しつつ、終わったら即座にゴミ箱を空にする、なかなか骨の折れる作業です。
一方、いいおばちゃんの方はまだ会話ができます。
話す内容は自分のことも多いですが、その中に興味を引かれることもありますし
ちゃんと情報が商品になっている感じがします。
恐らく自分の個人的な話題の中で、相手にとって有意義だろうというものを
ピックアップしているか、有意義になるよう味付けができているんでしょう。
そういう人とはまあ一緒にランチしてもたのしいし、なんならこちらから
話題を振ってもいい。情報はゴミ箱にはいれず、どっかに保存しておける。
社会に出てからすでに十ウン年たっていますが、会話だけじゃなく
対話ができる人っていうのは意外にたくさんいないんだなぁと思います。
言葉をキャッチ&リリースするだけでは、会話に過ぎない。
会話はただ情報がそのまま行きかうだけですが、対話には化学反応が起こるんですよ。
相手とのやり取りの中で、本人も気づいてない真理を見つけたり
当たり前のようなことを異化すること。
って言葉にすると難しい議論のようですが、なんかこの人と話すと
新しい視点ができたな、とかおもしろい着地をしたなとかその程度のことです。
ありがたいことに自分の親しい人はみんな対話ができる人なんですが
世間一般的には実はそういうセンスを持った人というのは少ないものです。
男性なら絶対に、容姿や若さにとらわれずに対話ができる相手を見つけないと
いずれは「悪いおばちゃん」になって、一方的な噂話や愚痴ばかり聞かされて
一生心の耳栓をして過ごすことになりますよ。
女性の場合は、いろんなためになる話、幅広い知識、経験談などをレパートリーとして
たくさん持っていて面白おかしく聞かせてくれる男性に惹かれがちです。
この人と結婚したらきっと一生楽しく話ができるだろうと。
だがしかしそれもキケン!
知識・教養・経験・話術は仕事にはいいかもしれませんが、結婚相手・恋人・友人に
は必要ないと思います。
おもしろ話のレパートリーにも限界がありますし、いずれは何度も聞いた話を
一方的に放送するスピーカーになるか、新鮮に話を聞いてくれる新たな相手を
見つけにいってしまいますからね。
そんなことよりも普段は無口でも、時々ハッとするような物の見方や表現をしたり、
こちらの言ったことの中からコアやエッセンスを抽出できる才能というのが大事。
それでなくとも世の中的に、一方的に淀みなく言葉を発信する人が優れているという
感じなんですよね。一見受身で話下手でも、対話の中で化学反応が起こせる人の方が
隠れた天才だし、それこそが言葉の醍醐味だと思うんですけどね。
私は年々滑舌の悪さがひどくなってきて会話すら成り立たないこともありますが。
私は人と話すときは、話がしたいのですが、世の中の人は、話すときに話がしたいと思ってるわけでもないんだな、ということに最近気がつきました。遅いわ。
そして、話のできる人よりも、話してるっぽさを即座に作れる人のほうが、なんか好かれています。
くそぅ。でも私はこれからも話がしたいと思います。