又吉さんが本当に芥川賞受賞してしまいましたね。
芥川もびっくりしてるんじゃないでしょうか。
サッカーでもいいところまで行って売れっ子の芸人で
芥川賞作家で・・・。
西村賢太さんや田中慎弥さんはどう思ってるんでしょうね。
お笑い芸人は結構なんでもできちゃう人が多いですけど
小説家だけは、この人から小説取ったら何も残らないよねって
いう人になってほしいと思うのはもう古いんでしょうか。

最近読んだ本について。
『アーティスト症候群 大野左紀子』


痛快というのはこういうことだと思える面白い内容でした。
痛くて快いんです。それは私自身10代の頃から「アーティスト症候群」の
一人だったからでしょう。

最初は芸能人の「アーティスト」活動について。
八代亜紀やジュディ・オングのバタくさい本気のおばさん絵画。
工藤静香の微妙に人をイラつかせるヤンキーファンタジーはデコトラに
描いてあるのが似合うとか。
元抱かれたくない芸能人ナンバーワン、片岡鶴太郎の器用に
不器用を演じているエセ画伯ぶり。
藤井フミヤや石井竜也の一見かっこよさげだけど中身がスカスカな
アートワーク。
芸能人のアート活動ってどれももやっとするけど、米倉斉加年だけは
オッケーというあるある。
ヒザを打ちたくなる考察がまとめられています。

ここまでは単純にゲハゲハ笑って読めるのですが、段々心が
キュっと痛んできます。
懐かしい番組『たけしの誰でもピカソ』のアートバトルについてのくだり。
私は当時あの番組を観ることができませんでした。なぜか目をそらしたく
なってしまうのです。

そして芸術大学で学生を教えてもいる著者の見る、最近の若い子たちの
目指すもの。それは「クリエイター」。現代っ子は現実的ですから
食えないことなんかしませんからね。私が大学の頃はまだアーティストの
方が学生たちの憧れカーストではトップでしたが、今は断然クリエイターでしょう。
オレ(私)のセンスでなんとなくかっこいいことができて有名にもなれて
お金も儲かるイメージ。対象はなんだっていい。
この辺りは思い当たることが多すぎて打っていたヒザががくがく震えてきましたね。

そして、今私が一番気になっているのが「ガーリーなものづくり」の世界。
デザインフェスタやなんかを見ても10年前に比べて明らかにこのガーリーな
雑貨がどんどん領土を拡げてきています。
この本が出されたのはもう7年前なので状況はだいぶ変わってきていますが、
今巷のちょっと「私のセンスを発表したい」手先の器用な女の子たち(おばさん含む)が
ハマりがちな雑貨とか手作り市の走りがすでに鋭く見抜かれています。
そしてそのルーツが美術出版から出ていた雑誌『みづゑ』だったんです!
超わかる!捨てようと思っていた2003年のみづゑを本棚から引っ張り出してみたら
「お店やさんはじめます」とか「雑貨のつくりかた」とか絶妙にひらがなの
混じった発疹が出そうなタイトルが並んでいました。
こんなん買ってたんだよ私も!!そう、みづゑ、みづゑなんだよ…。
ちなみにみづゑに応募した作品が掲載されたことがあるのですが、
その作品を返してほしいかって聞かれたから返してほしいって言ったのに
返してくれなかった、そういう会社です。



その2003年頃のみづゑ「お店やさんはじめます」には、まだ自分の作った
なんとなく可愛い私らしい雑貨を売るためにはネットショップを自分で開設するか
楽天市場などに出店するとまでしか書いてありませんでした。
でも今そのニーズを掬い取って成功しているのが、minneやiichiなんですね。
女子が誰しも心の中に少しは持っている「アタシらしいかわいいものをあつめた
おみせやさんをひらいて、またすこしかわいいものをかえるくらいのおかねが
ほしい、でもめんどうなシステムのかいはつやじむてつづきはしたくない」って
いう欲望を見事に満たしていますよね。
最近お昼の主婦向けの番組でオススメの副業として第一位がminneやiichiでした。
みんながあえて自分では作ろうとしない、そこそこ可愛いものを安くたくさん
売って稼ごうというもの。あの頃のみづゑ精神はもうそこまできているのです。

本を通して一貫しているのは「自分は特別なはず」というどうしようもない気持ち。
私も10代〜20代前半、この気持ちに本当に悩まされました。
何ができるかわからない、でも絶対に自分は人より何かが優れているはず!!
このイタさ、どうしたもんかね。
忘れもしない大学の進路で悩んでいたころ、親と言い合いになって、思わず母に
向かって「お母さんなんてただの主婦じゃん!」と言ってしまったことがあります。
あの頃の自分にアッパーカットしたい。
今となっては確信できます、母の方がずっと優秀だった。
そんな言動ができてしまうほど、バカでした。本当に。
大学でもそんな気持ちとの闘いでした。でもいわゆるオシャレでナウいクリエイター方面への
就職が敵わず、普通の会社でなんとか活かしてもらいやっと目が覚めました。
パラパラもまあ、爆発的にみんなに評価はされないけど、たまーに
気に入ってくれる人もいるし。私にできるのはこの程度。


あの自分の能力以上の何かができそうなやっかいな予感からは解放され、
やっと今は精神的に落ち着いて制作ができています。
とは言いつつ実はいまだにほんのちょっとだけ、そういう欲望はまだ潜んでいるんですけどね。
そういう人には本当に毒にもクスリにもなる本です。

もうみづゑは資源ごみにまとめて出してしまいました。
でも私の作品がちょっとだけ載っている号だけは捨てられませんでした。
つまり、そういうことです・・・。


















 
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コメント
この本、出た頃に立ち読みしましたが、私は当時も今もつける薬のないバカなので、「言ってることはわかるけど、私には関係の無い本だな」と思いました。私は芸術家なので、芸術家になりたいと思ったことはないからです。でも私に、この本を読んでみなよと言った友達とかから見れば、私もイタタタタタタタ見ちゃおれんよ、というふうな有様なのかもしれませんね。でもへいきです。
ひらたさまこんにちは。芸術家だから芸術家になりたいと思ったことはない!!すばらしい。
確かにこの本は必要ないですね。
私ももう今となっては何も考えていません。
ただ手を動かしているだけです。
  • by tamax
  • 2015/07/18 11:27 PM
たまさん、こんにちは。せっちゃんですよ〜。(自分でせっちゃんっっていうのやめたいけど、せじまでわかるよね、、、?大学時代に「せっちゃんって呼んでね!って元気に言ってた自分、思い出して恥ずかしいよ)
みずえ症候群とてもよく分かります。私はこの本知らなかったけど、是非読みたいと思いました。相変わらずいつも非常に勉強になります。
  • by せつこ
  • 2015/07/27 1:59 PM
せっちゃん!この前はありがとう。
せっちゃんはマジでガチのイラストレーターだから
こんな本は気にしなくていいよ。
お仕事になってて本当に尊敬する。
でもまあ育児の合間に読んでみたらばいかがでしょう。
  • by tamax
  • 2015/07/29 10:35 PM
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