前々からかなり楽しみにしていた『バルテュス展』に行ってきました。

バルテュスのイメージは少女がやたらと椅子に座って脚ピンしている絵。
淫靡さや耽美的な感じが一部の人に支持されるようですが、
私はどちらかというと、そういう丸尾末広的な世界観というよりは
人体のいびつさとか表情のかたさとかポーズの不自然さとかが気になっていました。

実際すごく習作を重ねるしつこい人だったようで、最初のラフスケッチなどは
普通に上手な自然なタッチなのに、出来上がった作品では突き詰めすぎて
おかしなことになっちゃっていて笑えました。

絵はどれもすごくおもしろかったです。
それとこだわっていた少女の脚ピンですけど、あのような空気感って
やはり女子特有のある時代を象徴していると思います。
昼下がりの薄暗い部屋の中で、無心に脚を放り出してグダグダしていた頃。
あの、時間が無限にあるような安心感と、そこはかとない虚無感が
美少女にもブスにも等しく訪れる、いわゆるひとつの「少女の時間」だったのかなぁと思います。

展示の中にはバルテュスのアトリエを再現したコーナーや
本人の晩年の映像なども流れていました。
昔NHKでやってた特番のほんの短いスポットですが、
大学ぐらいのときに実家で母とたまたま観ていた番組でした。
作家の江國香織が憧れの画家バルテュスのアトリエを訪ねるんですが
そのときの江國香織のバルテュスへの媚び方が不愉快で、
母に「なんだこれは」と文句を言っていた記憶がありますが、
あまりに不愉快だったので、それがバルテュスだったことは
全然覚えていませんでした。

番組ではジジイになったバルテュスが撮影クルーにブチギレまくる様子が
映されているのですが、絵同様神経質で偏執的な人だったんだなぁと思いました。
絵にもピリピリした空気が漂っていました。
でも逆にそこが笑えるようなところもあって、「またおじいちゃん怒ってるよ(笑)」みたいに
「また脚ピン出たよ(笑)」みたいな感じで楽しんで観ることができました。

あと猫が相当好きだったところとか、神経質で頭がかたそうなのになぜか
傍から見てるとほほえましいような人柄が夏目漱石みたいだなと思いました。
 
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